1級土木施工管理技士試験の過去問と解説まとめ!2019年度実地試験(経験記述)

こちらは、2019年度(令和元年)1級土木施工管理技士試験の過去問の解説です。
今回は、2019年度1級土木施工管理技士実地試験の過去問で、問題1(経験記述)について詳しく解説していきます。

土木施工管理技士とはどのような資格なのか、土木施工管理技士試験の内容・日程・難易度・合格率・勉強法については、下記の記事で詳しく解説しています。

土木施工管理技士とは?試験の日程・難易度・合格率、1級・2級の勉強法をご紹介!
土木施工管理技士の資格は、主に公共工事の、河川の改修工事や、築堤、護岸工事、橋梁工事、道路改良工事や舗装工事など様々な土木一式工事を施工するにあたり、工事現場の現場代理人や主任技術者を担当するために必要な資格となります。土木施工管理技

1級土木施工管理技士実地試験問題1(経験記述)の内容

1級土木施工管理技士試験には、学科試験と実地試験の2つがあります。
実地試験は、学科試験に合格した方や学科試験免除者しか受けることができません。
実地試験の問題は、問題1の「経験記述」と問題2~11までの「選択問題」があります。
問題1は、実際に経験した工事から、ふさわしい技術力の有無を判定するための問題です。
問題の形式は論文形式で、与えられたテーマに沿った技術的課題・検討内容・対応処置について記述していきます。

過去問の傾向

最近の1級土木施工管理技士試験の過去問の傾向としては、過去7年間で「品質管理」がもっとも多く出題されており、ついで「安全管理」が多いです。
出題されるテーマは「品質管理」「安全管理」「工程管理」の3つですので、時間がない方は「品質管理」「安全管理」を重点的に論文解答例に目を通すとよいでしょう。

1級土木施工管理技士実地試験『問題1(経験記述)』の論文解答例 その1

こちらは、2019年度に出題された1級土木施工管理技士実地試験問題1の論文解答例です

〔設問1〕土木工事の概要

〔設問1〕は、実際に経験した土木工事に関する概要を記述します。
工事概要の項目は7項目です。

①工事名
工事名:○○○○○○工事
契約書に記載されている工事名を記載しましょう。
もしも、工事名を忘れてしまった場合は、どういった工事なのか伝わるような名称にしてください。
読み手が理解できれば時間をかけて考える必要はありません。

②発注者名
発注者名:○○県○○土木事務所
○○県や○○市などどこから発注したものか記載しましょう。
下請けの場合は○○建設など元請け業者の会社名を記載します。

③工事場所
工事場所:○○県○○市○○町○○番地
工事場所については、実際に工事を行った場所の住所を記載しましょう。

④工期
工期:平成〇〇年〇〇月〇〇日~平成〇〇年〇〇月〇〇日
工期については、契約書に記載されている工期を記載しましょう。
期間が分かればよいので、和暦でも西暦でもどちらでも構いません。

⑤主な工種
主な工種:路盤工、土工
工種については、コンクリート工、路盤工、舗装工、暗渠工など、工事の主要な工種を記載しましょう。
主要なものだけで、全部を記載する必要はありません。

⑥施工量
施工量:掘削土○○㎥
施工量については、工事で実際に発生した施工量を記載しましょう。
主要なものだけで、全部を記載する必要はありません。

⑦工事現場における施工管理上のあなたの立場
立場:工事主任
立場については、ご自身が工事で実際に携わった立場を記載しましょう。
会社の役職や肩書きは不要ですので、現場監督、現場代理人、主任技術者、工事主任など、現場での立場を記載します。

〔設問2〕技術的課題・検討内容・対応処置

〔設問2〕は、技術的課題をどのように検討して、どういった対応でその課題を克服したのか、その事例を技術的課題・検討内容・対応処置の3つに分けて記載します。
2019年度に出題された1級土木施工管理技士実地試験問題1では、現場状況から特に留意した「品質管理」について、具体的にまとめていきます。

(1) 具体的な現場状況と特に留意した技術的課題
本工事は、H件Y振興局管内の、国道00号線改修工事であった。概要は総延長16kmであり、片側交互通行での施工が求められた。地域の特色としては、凍結深度1500以上が予想され、路床部分は水はけの悪い地域であった。
冬季間には凍結・融解を繰り返す路盤の安定処理方法や、粒度の合わない製品の使用が、設計図書より求められていた。このような路盤安定処理方法と粒度調整及び施工時の排水処理が、本工事の留意すべき技術課題となった。

(2) 技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容
路盤安定処理方法、粒度調整、施工時の排水処理について検討した内容は、以下の通りであった。
① 路盤安定処理方法には、セメント安定処理や粒度調整した砕石利用などが考えられるが、耐久性、凍結融解耐性を鑑み、瀝青安定処理材を利用することを検討した。
② 粒度調整を地産地消材料として、火山礫、また沿岸地域であるため、破砕した貝殻の使用を検討した。
③ 水はけの悪い地域は開削前に地下水位低下をさせ、掘削時の水処理の比重を減らすよう検討した。工法としては経済性・高効率な、簡易ディープウェルを検討した。
④ 凍上抑制層に用いる材料は、凍結・融解に対して耐性のある材料を選定する計画とし、品質証明等の書類確認のほか、ふるい試験を採用することを検討した。

(3) 上記検討の結果,現場で実施した対応処置とその評価
上記の内容から行った対応処置は、以下の通りであった。
① 瀝青安定処理材は、アスファルト舗装同様の管理が必要となる。荷卸時の温度170度以上を確保し、品質を管理した。
② 火山礫・破砕貝殻は凍結・融解作用耐性試験を行い、使用できることを確認した。
③ 側道15mごとに簡易ディープウェルを入れ、地下水位を路床下まで下げたあとに開削することができた。
④ 凍上抑制層材料は、0.075mmフルイ通過量20%以下であることを確認した。
以上の対応処置により、品質の良い路盤工を構築することができた。

1級土木施工管理技士実地試験『問題1(経験記述)』の論文解答例 その2

論文答案構成

現場状況から特に留意した「品質管理」について、〔設問2〕では技術的課題・検討内容・対応処置の3つに分けてまとめます。
経験記述では、①→②→③の順に全体の流れが一貫して、矛盾がないようにまとめていくのがポイントです。

①留意した技術的課題

留意した技術的課題では、実際に体験した現場状況の説明と、工事を進めるにあたっての「品質管理」において、どのような問題が発生あるいは予測されるのか技術的課題を書きます。
今回の論文解答例では、現場状況について「路床部分が水はけの悪い地域だった」特長を挙げました。
技術的課題を挙げる場合は、まず現場の特徴を説明し、それに伴う課題点を書き出してから文章にするとまとまりやすいです。

②検討した理由と内容

検討した理由と内容では、①で書き出した課題点について、解決案をそれぞれ箇条書きでまとめます。
今回の論文解答例では、「路盤安定処理方法」「粒度調整」「施工時の排水処理」を課題に挙げたので、それぞれについてどの方法が一番よいか、現場で検討した内容を箇条書きでまとめました。

③実施した対応処置

実施した対応処理では、②で検討した内容から、より具体的に現場でどのように対応したのかを箇条書きでまとめます。
今回の論文解答例では、検討した内容から「荷卸時の温度170度以上を確保」「側道15mごとに簡易ディープウェルを入れ」「0.075mmフルイ通過量20%以下」といったような、具体的な数値を用いて対応処置についてまとめました。

1級土木施工管理技士実地試験問題1(経験記述)の対策

1級土木施工管理技士実地試験問題1は、実体験をもとにした記述問題のため過去問の回答例をそのまま使うことはできません。
出題されるテーマは「品質管理」「安全管理」「工程管理」の3つですので、どの問題がでても答えられるよう3つの回答例を事前に準備しておく必要があります。
そこで、本サイトでは、1級土木施工管理技士実地試験問題1の過去問を分析して、出題予想を行い、オリジナルの論文解答例をまとめた『1級土木施工管理技士経験記述の支援ツール』を提供しています。
過去問の回答例をそのまま使うことはできないと説明しましたが、支援ツールでは、本年度の出題テーマを予想し、独自の現場情報に書き換えるだけで、合格点の獲れる、解答例文となっています。
出題予想については、過去問の傾向を分析し、高い確率でテーマを的中させています。
支援ツールでは、その予想テーマに沿って、合格点が獲れる「施工経験記述の解答例文」を多数提供。
詳しい内容については、こちらでまとめていますので、1級土木施工管理技士経験記述のオリジナル論文解答例や「今年出る出題テーマ」を知りたい方は、確認してください。


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