建設一般の技術レポート NO.02、建設分野における、海外インフラ整備への取組み


建設分野における、海外インフラ整備への取組みについて、建設一般の技術レポートです。


文例 44  建設分野における、海外インフラ整備への取組み


 我が国の財政状況が厳しさを増し、国内の公共事業の削減が進む中、需要旺盛な海外事業への展開が求められている。建設分野における、海外インフラ整備への取組み方、国際貢献できる方策について、あなたの意見を述べよ。

1.海外インフラPPPの現状と課題

 現在、インドネシア国内でPFIが計画中の事業は、87件、事業費ベースで総額約340億ドルにのぼる。事業分野は高速道路や有料道路、水道、廃棄物処分、輸送、電力関連など多岐にわたっている。8件の事業がすでに実施に向けた準備段階にあるほか、18の事業が優先実施事業と位置付けられている。
 また、インドネシアでは今後5年で、インフラ整備に1400億ドル規模の資金が必要になる見通しである。インドネシア政府はこのうち31%程度を拠出し、残りは海外や民間の資金を活用したい考えで、日本企業への出資や事業参画も求められている。
 こうした動向を踏まえ、アジアや中東、中南米などで予想されるインフラ投資について、海外事業に参画する日本企業を資金面から支える「インフラファンド」の設立を後押しする金融支援、メーカーとインフラ運営企業の連携強化、外交ルートで相手国に働きかける首相や閣僚らによるトップセールスなど、今後一層、官民一体の取り組みを強化する必要がある。
 国土交通省は、鉄道、直轄駐車場、海外道路の分野に続き海外水インフラ分野においても、外部有識者を交えた検討組織を立ち上げ、官民が連携して上下水道などの事業を海外展開できる体制を整える方針である。

2.海外での大規模な水ビジネスの展開

(1) 海外の水インフラプロジェクトの推進
 我が国の優れた水関連インフラ技術の輸出促進策を検討するため、産学官で構成する「海外水インフラPPP協議会」を設置準備が進められている。同協議会の目的は、官民の連携で、アジアを中心とした新興国を対象に、水源確保から上下水道事業までをパッケージ化して輸出する方策を検討し、日本企業の海外での大規模なビジネス展開につなげるためのものである。
 海外水インフラPPP協議会において、国交省のほか厚生労働、経済産業、環境、外務、総務の各省に自治体や政府系機関、民間団体などが連携して、80兆円市場とも言われる世界の水関連市場に日本が参入するため、官民一体となった次のような取組みを促進する必要がある。
○ ダム整備など水資源の確保から上下水道事業までの水管理をパッケージ化する
○ 官民共同セミナーの開催による情報の共有
○ 進出する対象国や事業化方法、政府による資金調達支援策の決定
○ 上下水道関連、プラントメーカー、建設会社、建設コンサルタント、商社など、海外事業
  の経験がある企業を中心に、協議会への参加を民間企業から公募する

(2) 官民連携による海外水ビジネスへの参入
 我が国では上下水道の運転管理ノウハウを自治体が持っていることから、自治体による国際貢献のあり方やビジネスマーケットへの参入についても検討する必要がある。
 東京都水道局は、同局所管で水道施設の運営・管理などを行う第3セクター、東京水道サービスを活用したビジネスモデルの検討・展開を2010年度から実施する予定であり、大阪市水道局は、関西経済連合会などと共同で、ベトナム・ホーチミン市の水道システム構築に向けた実現可能性調査を、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトとして実施している。その他、横浜市や川崎市でも水ビジネスを見据えて動いている。民間企業でも今月、三菱商事、荏原製作所、日揮の3社合弁の総合水事業会社が発足するなど、官民連携による国内外の水事業への取り組みを今後一層強化する必要がある。
○ 世界的な水不足など直面する課題解決に向けて、水道技術や運営ノウハウを活用する
  とともに、民間企業と提携して海外の水道事業を受託する活動を推進する
○ 公営企業として運営してきた水道事業をビジネスとしてとらえ、官民連携による国際
  貢献を図る
○ 海外事業調査研究会を設置し、海外の水道事業体のニーズに応じたビジネスモデル
  の検討を進める
○ 水道局職員などが現地に出向いて水事情の把握や水道技術のアピール活動を行う
○ 事業化の可能性について幅広く検討し、ビジネスモデルの展開・参画を図る



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