河川砂防の技術レポート 河川構造物 NO.04河川護岸の被災原因と外力・力学的設計による安全性


河川護岸の被災原因と外力・力学的設計による安全性について、河川砂防の技術レポートです。


河川構造物 02 河川護岸の被災原因と力学的設計による安全性


河川護岸の主要被災原因と、外力(力学的設計)による安全性について述べよ。

1.護岸被災の主要な要因(求められる機能)

 河川護岸の目的は、河岸または堤防の保護と流水による洗掘の防止であり、その構造は、河川形状に適合し、十分な強度を有するものでなければならない。
 護岸被災の主要な要因は、①河床低下や洗掘による欠壊、②背面からの土圧、水圧による欠壊、③背面土砂の吸出しによる欠壊に大別される。
①河床低下や洗掘による欠壊
 上流からの土砂供給の低下や下流部の異常な深掘れによる河床の低下、河川の水衝部や橋梁等の障害物付近での局部的な偏流による河床の洗掘に起因して、護岸が倒壊に至るものである。
②背面からの土圧、水圧による欠壊
 護岸背面土砂の湿潤による内部土砂のせん断抵抗力の低下や土圧の増大、洪水の急減による残留水圧により、護岸が欠壊するものである。
③背面土砂の吸出しによる欠壊
 護岸背面の土砂がのり覆工の空隙、基礎の下面などの弱点を経由して外部への吸出しを続け、背面土や基礎部に空洞が発生し、護岸の破壊を招くものである。

2.護岸の安全性の評価

 護岸の設計においては、作用する外力、流速、最深河床高等を考慮して、のり覆工、基礎工、根固工についての安全性を評価する必要がある。

(1)のり覆工の安全性の評価
 のり覆工は、護岸の主要部分を占めるものであり、外力として流水の作用によるせん断力・抗力・揚力等の流体力、土砂・流木の衝撃力を考慮して、流水の水理条件(水面勾配、水深、河床材料、水勢、洪水継続時間等)から、安全性を評価する。また、侵食力や流体力は流速と密接に関連するため、流速の評価も重要となる。
 更に、植生を活用した河岸防護は、葉や茎による流体力の低減、表面被覆による流水作用からの保護、根による直接強化など、相当程度の防護効果が期待されるため、今後は「自然との共生」の観点から、自然河岸を補強した構造は、洪水時の安全性を評価する必要がある。

(2)基礎工の安全性の評価
 基礎工の設計においては、最深河床高の評価による、基礎工天端高の決定が最も重要である。
 最深河床高は、経年的な河床変動データ、既往研究成果、数値計算、移動床水理模型実験等の方法から、河道特性を勘案して適切な方法を併用して評価する。
 基礎工の構造は、土質、施工条件、河道特性に応じて選定し、地盤が良好な場合には直接基礎、軟弱地盤の場合には杭・矢板基礎を採用する。

(3)根固工の安全性の評価
 根固工は、基礎部の流勢を減じ、河床を覆うことで急速な洗掘を緩和する目的で設置される。
 根固工は大きな流速の作用する場所に設置されるため、基礎工と同様に最深河床高を評価し、流体力に耐える重量であること、護岸基礎前面に洗掘を生じさせない敷設量であること、耐久性があること、河床変化に追随できる屈とう性構造であること等を考慮して計画する。
 根固工の代表的な工種としては、捨石工、沈床工、籠工、異形コンクリートブロック積工等が挙げられる。

3.おわりに

 堤防は流水の越流に対して極めて脆弱であるため、今後の堤防補強対策として、二線堤、河畔林、樹林帯等の整備を促進し、洪水被害の最小限化を図る必要がある。 また、防災機能に加え、地域整備計画と連携しつつ、平常時のオープンスペースとしての利活用、貴重な自然体験を提供する空間の創出、景観・生態系の環境保全等を目的として、堤防周辺整備を実施する必要がある。

                                - 以 上 - 



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